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【鬼灯の冷徹】あの世の行い気をつけて【トリップ長編】

第2章 三途リバーの流れのように


どれだけ流されたのだろう。目を閉じて息を止めて…正直もう限界、そう思いかけ苦し紛れに手足を動かす。もがくうちに足先が何か堅いものに押し当たる。
無我夢中でソレを蹴った。
「ゴペー、うへっマズぅ。」
しぶきを上げて水中から飛び出し、鼻と口に含んだ水を吐き出し咳込んだ。鼻の奥が痛い。痛みと共に命の尊さを知る、まあもう死んでますから苦しみしか訪れないかもしれないけど…今はまたこうして息が出来ることが本当に有り難い。
「もし、そこの貴方。早く立ち上がって此方の服に着替えて下さい。」
凛とした声のする方へ霞む瞳を開けばおぼろに映る黒い服。体を起こして見やったそこには・・・
「鬼灯様だー!イャッホローゥ!!!生き…死んでて良かった!」
コロンビアと言わんばかりに両手を振り上げ目の前の美丈夫を見つめる。漆黒の黒髪、控えめな角、下がった口角に巨大な金棒。まさしく二次元の地獄にいた「閻魔大王 第一書記官」鬼灯様、その方だった。
「夢でもガチ地獄でももう良いよ!イケメン見れたからもう悔いはない!!」
多分人生で一番華やかな笑顔を携えながら私は河原の石の上でクルクル回り始めた。

今思うと、アンタって本当バカぁ?状態である。

そう、私はまた気付かなかったのだ。
鬼灯様が向けてくる鋭い視線や後ろに控える子鬼達の姿
そして今の自分がびしょぬれ布一状態だと言う事に。



【続く】
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