第7章 秘密の悩み
そんな事があった次の日も考えていた。
人を殺す道具は銃だけではない。
刀だって、弓矢だって、急所を狙えば殺しの道具だ。
(私は、矢を放ち、人を殺したではないか……)
それが、銃でなかったと言うだけだ。
善も悪も、正義も不義もなく。
私に害を与えたわけでもない人に、
矢を放った。
無意識に無差別に。
(政宗の命を救う為、私は…)
『殺した』
守る為、救う為。
銃は刀や弓矢より簡単で殺傷能力が高いというだけで、同じ、人を傷つける道具。
殺そうと思えば殺しの道具。
急所を外して狙うなら、保身為の道具…。
護る為、殺す。
救う為、殺す。
殺す為…殺す…?
想いも考えも堂々巡りで、抜け出せない。