第30章 奥州からの一行
「あっ、ああ…////…何でも言ってくれよ」
秀吉は顔を赤くして、兄貴肌を吹かせた。
「ええ、では、お気をつけて行ってお帰り下さい」
瑠璃はそう挨拶をして、伊達御殿の門を潜って行った。
玄関で声を掛けると、お夕が駆けて来た。
「瑠璃様っ!政宗様の許嫁がいらしたって本当ですか⁉︎」
その言葉と早耳に瑠璃は苦笑した。
誰がどこから聴いてくるのか、
『壁に耳あり』とは良く言ったものだ。
間違いない。
人の言葉、人の噂話、人の想い
人の紡ぎ出すモノほど恐ろしい物はない、
と瑠璃は思う。
「奥州からの姫様ですが、許嫁ではないようですよ?」
「えー、本当ですかぁ〜?」
「まぁ、そう言っていたので、そうなんでしょう」
瑠璃はお夕に軽く付き合いながら部屋へと向かった。