第30章 奥州からの一行
御殿へ戻ろうと城を出た瑠璃を
「玉瑛っ」
秀吉の声か追いかけて来た。
「秀吉様」
「町へ行くんだ、そこまで一緒に行こう」
何か話したいことがあるのだろう、と
察した瑠璃は秀吉と一緒に歩き出した。
「あの姫の一行は今日は城に泊まる。
だが姫は明日からはそっちに泊まると言い出すだろう。
大丈夫か?」
美弥が仕入れて来た情報だった。
『政宗と少しでも長く一緒にいたいんだって』
『素直に口にする人みたいで、
政宗との思い出とか、何処が好きとか、
ずっと語ってくれたよ…』
無邪気な童女の様な人だと美弥が言っていた。