第15章 フォーミュラ
急いであたりを見渡し彼女の姿を探すが、どこを見れど全く彼女が見つからない。
自分の近くへと移動してきたと予想していたが、彼女は近くどころかステージのどこにも姿が見えない。思わぬ事態に困惑し、逃げ場に困って入れば素早く頭が働く。
(…いや、ここにいないはずなどない、一体どこに……まさか!?)
上、
そうハッと気づきすぐさま上に視線を上げれば、希里が真っ逆さまに落ちてくるのがみえた。
(まずいッ!?)
そのままこちらの頭上に落ちてくるのではないかと逃げるためエンジンをかけるかどうが一瞬の間迷っていれば。今度は空から彼女の姿が消えてしまい今度こそ思考が止まってしまう。
『失礼!!!!』
気づいた時にはもう遅く、途端に横に現れた彼女は僕の腰をめがけ重い蹴りを入れる。即座にエンジンで立て直そうとするも予想以上の速度の彼女に反応が遅れてしまい、なすがまま。
「グゥッ!?」
そのまま勢いよく人形のように転がっていけば、最後に強くドンッと壁に体を打ち付ける。
「ウッ……っは、いつのまに…」
衝撃で吹き飛んだメガネのせいで視界はぼやけているが、すぐに自分が場外にでていることが分かってしまう。
「飯田くん場外、よって希里さんの勝利、二回戦進出!」
「一体何が…?」
なにがなんだかわからず呆然と地面から体を上げれば、すぐに駆け寄って来た彼女の顔が視界いっぱいに飛び込む。
『大丈夫!?思ってた以上に速度が出ちゃった…立てる?』
「あ、ああ…」
差し出された彼女の手を掴みなんとか立ち直せば、蹴りを入れられた腰をさする。
「君…一体どうやってあんなスピードで?」
『飯田くんのレシプロバースト…少し参考にさせてもらったんだ』