第19章 デベロップメント
轟から彼のあまりよろしくない人物像を聞いているが、それでも彼は言わずもがなヒーロー界のナンバーツーだ。そんなエンデヴァーから指名が入っていることに、思わず私は目を疑う。
「すごいね…ナンバーツーヒーローにまで目をつけられてるなんて」
『うーん…間違えたのかな、打ち間違え、的な』
「ええなんでそこまで信じないの!?君の実力じゃないか!」
『いやあなんか現実味がなくって、つい』
そんなことを話して入れば、奥にいた轟がこちらに歩いてくる。どうやら私たちの会話を聞いていたらしい彼は、私に声をかけてきた。
「希里、それ本当か?」
『轟くん。エンデヴァーのこと?』
「ああ」
『うん、多分。一応指名、きてたよ』
「…そうか、少し話がしたい。昼、一緒に食べても構わないか」
『え?もちろんいいけど』
「できれば二人きりがいい」
『え、ふ、ふたりきり?』
「なになに〜デートのお誘い!?」
何かを嗅ぎつけた芦戸が大きな声で飛び込んでくれば、今度はそれにつられた峰田と上鳴が集まってきてしまう。
「くそ、イケメンは堂々とできていいなオイ!!」
「なあに轟一人で抜け駆けか!俺の許可はとったのか!」
「デート?昼休みを一緒に過ごすのはデートなのか?なぜ許可がいるんだ?」
「希里チャンとデートするには俺らの許可がいるんです〜」
「そうだったのか?そもそもデートって何をするんだ」
『轟くんも真面目に返事しなくっていいから…デートっていうのはもっと休日にでかけたりするような、なんかこう、ああもうとにかくお昼ご飯はデートじゃないし許可もいらない!』
思いもよらない方向に加速していく会話に思わず頭を抱える。轟らしいと言えばそうなのだが、今ばかりは少し面倒だ。
「轟くんって本当に真面目だね…」
「トバリちゃん人気やね〜」
「ケロケロ 嫌がってるのに詮索するのはよくないわよ?」
『ありがとう梅雨…』
「だって轟がぁ〜〜」
ブーブーとうるさい彼らに轟が生真面目に考え込めば、ふと思い出したかのように口を開く。
「だったら、一昨日のはデートだったのか?悪いそんなこととは知らなかった」
『うん!?ちょ、ちょっと、』