第3章 ~嫉妬の先には~
あれから少し時間が過ぎた
旭とは時々お泊りをしたり出かけたりして
部活も忙しく会えない日も多々あった
軽音部部室にて
「ヒーーーナーーーー!!!!」
ひときわ大きな声でじたばたと暴れる金髪の生徒
自前のドラムスティックをやや乱暴に振り回しながら
私を呼ぶ
彼女はこの軽音部、≪Transmit≫のドラム、紀田実瑠
ドラムや音楽に対する情熱が私並にあり時々揉めてしまう
然し、不機嫌ということではないみたいだ
「ヒナ―!最近どうよ~?あのロン毛先輩とは~!」
「えっ?どうも何も、連絡はしてるし…」
「No-!アタシはそういうのを聞きたいんじゃないの!
ときめきって…曲を高める大事な要素だと、思わない?」
実瑠は少々ストイックだ。
ときどき私の作曲にダメ出しをしている
「ま、まぁ。紀田さんもそこまでぐいぐいしなくてもいいじゃないですか?」
実瑠を抑えてくれるのは先生の甲斐沢 杏歌。
顧問でありながら凄腕のギタリスト
っていうのはほかの生徒や先生方には内緒らしい
彼女はおろおろしながらこちらに近づき実瑠の肩を軽くもみ始める
ムスッと頬を膨らませ実瑠は黙り込んだ
ときめきは確かに大事なのだろうが、それよりも
今はとあることに感情が動かされている
雛子はもやもやしていた
今置かれている状況に葛藤している
それはもうひとつ探らなきゃいけないことがあるのだ
予鈴が鳴る、今日はバレー部に差し入れに行く日だ
合宿だったり予選だったり忙しそうにしていた旭に久しぶりに会えると思うと
自然と頬が緩む。
「ヒナー、今ロン毛先輩のこと考えてたでしょー?乙女の顔してたぜー?」
「7ビートの17分くらいある曲でも叩かせようか?」
「う˝…ごめんないさい…」
不敵な笑みを浮かべ雛子は部室を去っていく
差し入れを詰め込んだカバンを抱えて