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あなただけを…

第39章 ➖知らない気持ち➖


いくら待っても衝撃が来ない…

その代わりに…
私の目の前からよく知る人物の声が聞こえた

「やれやれ…
 あまり手荒な真似はしたくないんですがね…
 ジェイド、フロイド少し遊んであげなさい」


「かしこまりました」

「サラに攻撃しようとしたんだから…
 おもいっきり絞めていいの?」

「えぇ、フロイド…。僕の分も頼みますよ?」

その会話を聞き
目を開け状況を確認する…

私を庇うように立った君の後ろ姿が目に入る
ハットは飛ばされており
右のこめかみ辺りからは血が流れていた…

『なんで?あなたが…
 ねぇ…アズール…なんで私を庇って…』

「あなたこそ…
 なぜ彼等を挑発するような態度を……
 それに…彼の攻撃を受けようとしたのは?
 あなたなら返り討ちにできたはずでしょう」

『それは…。人目が多すぎる…
 今使うわけにはいかないでしょ…
 それに…私の事なんて放っておけば…』

「フッ…そうでしたか…。いやですねぇ…
 あなたに借りを作れる貴重なチャンスだ
 …僕がムダにするわけないでしょう?
 なんて、言いたいところですがね……
 体が勝手に動いたんですよ…。
 何故かは、僕にもわかりませんがね…」

最初はいつもの自信に溢れた彼だったが
こちらに振り返り
耳元でそっと本音を漏らす君…

それを聞き涙が溢れ、私の声が震える…

『…っ…なんでよ…なんでアズールが…
 アズール…私っ…あなたを……』

吐き出してしまいそうな想いを
必死に飲み込んだ
抱きついてしまいたくなる衝動
心の内を明かしてしまいたくなる気持ち

彼の上着を握り締め耐えていた…

(本当はね…大好きなあなたを忘れられたら…
 そう思って攻撃を受けようとしたの。
 それなのに…誰よりも大切なあなたが…
 アズールが傷付く事の方が、私にとっては
 自分が傷付く事よりも心が痛むんだよ…
 ごめんね…卑怯で臆病な私で…
 伝えられなくてごめんね…アズール…)

「あなたは本当におもしろい人ですね。
 僕が勝手にしただけの事ですよ?
 それなのにあなたは……」
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