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イチオクノホシ【気象系BL】

第3章 Kissから始めよう


【潤side】

ホームルームの終わりを告げる担任の声と共に、立ち上がった。

「じゃ、お先~」

鞄を掴み、教室を飛び出して。

ダルかった授業から解放された清々しさに、ついつい鼻唄なんか歌いながら昇降口へと向かっていると。

「松本っ!!」

突然、肩を強く掴まれて、引き留められた。

「あん?」

思わず振り向いて睨み付けると、そこには俺に負けじと睨み返してくる大きな瞳。

「…んだよ、櫻井」
「おまえっ…今日は文化祭の準備あるから残れっていったろ…!」

ダッシュしてきたのか、肩で大きく息をしながら俺にしがみつくようにしてる。


…だっさ。


「そうだっけ~?」
「そうだよっ!」
「あ~でも俺、大事な用事入っちゃってるんだよね~。悪りぃな」
「おまえ、この間もそう言ってサボっただろっ!」
「そうだっけ?」
「おまえがやんない分、みんながフォローしてんだぞっ!みんな、部活やバイトで忙しいのにっ…恥ずかしいと思わないのか!?」
「恥ずかしい…?いや、全然」


なに一人で熱くなっちゃってんの、こいつ

バッカみてぇ


「おまえっ…!」
「あのさぁ、たかが文化祭ごとき、なんでそんなに気合い入ってるわけ?そういうのって、やりたい奴がやればいいんじゃねぇの?中にはやりたくない奴もいるわけでさ…今の時代、そういう押し付けって、一種のパワハラだと思うけどなぁ、俺は」

少しだけ踵を浮かせて、俺より少し低い位置にあるドングリみたいな眼を上から押さえつけるように見つめながら、わざとニコッと笑顔を浮かべてやると。

櫻井はぐっと言葉に詰まった。

「ぱ、パワハラって、俺は別にっ…」
「それじゃ、俺の分も頑張ってね。真面目なクラス委員さん♡」

肩を掴んでた手が、一瞬緩んだのを感じて。

その手をバシンと弾き飛ばすと、踵を返して歩き出す。

「おい、松本っ…!」

まだ、声は追いかけてきたけど。

俺はそれを振り切って、階段を下りた。


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