第2章 不言色 ―いわぬいろ―
「あっ、あっ、あっ…」
棹を擦る動きに合わせて、腰が揺れる。
先っぽからは、もうひっきりなしに雫が溢れてて。
「まさきっ…だめ…もう、出ちゃうっ…」
頭を激しく振って、快感を逃そうとするから。
追い詰めるように擦るスピードを早めたら。
「あっ…やだっ…出るっ…あーっ…」
ゾクゾクするほど色っぽい声で啼いて。
熱い飛沫を、俺の口のなかにぶっ放した。
「あっ…ぁ…ぁ…」
びくんびくんと震えながら、何度か吐き出して。
最後の一滴まで受け止めると、俺はそれを躊躇いもなく飲み込んだ。
不思議だ…
この間はマズイって思ったのに
今日はなんだか甘く感じる
これって俺の気持ちが変わった、ってこと、なのかな…?
やっぱ、俺
ニノのこと…
甘酸っぱいような、苦しいような気持ちを感じながら顔を上げると、ニノは放心したようにぼんやりと宙を見つめていて。
ざわりと、嫌なものが背筋を駆け抜けた。
その目がまるで、ここにはいない誰かを見つめてるような気がして。
もしかして…
「ニノ…」
また、もやもやが大きくなって。
その目に、俺だけを写して欲しくて。
名前を呼んだ。
そうすると、彷徨わせていた視線を俺に向けて。
ふんわりと優しく微笑んでくれる。
「まさき…」
俺だけを見つめる瞳。
俺だけを求める腕。
それがすごく嬉しくて。
伸ばされた手を取って、強く抱き締めた。
「気持ちよかった?」
「…ん…」
訊ねると、恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋めながらも、頷いてくれる。
「…先に、進んでも、いい?」
この間は、ここまでしか無理だったから。
念のためにと、確認を取ると。
「…うん。俺…雅紀と一緒に、気持ち良くなりたい」
その目にしっかりと俺を写して、そう言ってくれた。