第1章 協奏曲 ─concerto─
俺的、いっちばんセクシーな顔で誘ってみたら。
翔ちゃんはゴクンと生唾を飲んだ。
「大丈夫なの?また、倒れたりしたら…」
「もう、大丈夫。翔ちゃんのお陰で身体も冷めたし。ここも元気になったし?」
そう言って、もう一度ソレを翔ちゃんに押し付けると。
なぜか困ったように笑いながら、するりと俺の太股を撫でる。
「逆上せてる間も、半勃ちだったけどね」
「え、ウソ?」
「ホント。どんだけ元気なんだって思ったもん」
笑いながら、その手はするすると内股を撫で続けてて。
でも、肝心なとこには触ってくれなくて。
くすぐったさともどかしさが混ざった感覚が、生まれる。
「んっ…だ、って、さ…」
「だって…?」
「早く…翔ちゃんと、ひとつになりたいもん…」
だって今日は記念日じゃん?
出会ったあの日から
ずっとずーっと恋い焦がれて
ようやく想いが通じて
これから先
どんなことがあっても
ずっと二人で生きていこうねって
そう誓い合った
俺たちの記念日
だからさ
今日は翔ちゃんといっぱいいっぱい
愛し合いたいんだもん!
「うん…俺も。早く、智くんをいっぱい愛してあげたい」
翔ちゃんが、飛びっきりの笑顔で応えてくれる。
そうして。
あの日みたいに、俺の左手を恭しく取った。
「もう一度…誓い合おうか?」
「うん」
あの日、ロマンチストの翔ちゃんが考えた儀式。
神様に祈るんじゃなくて。
俺たち自身に、誓いを立てるんだって。
「これから先…どんな困難が待ち受けてても、俺は君の手を離さない。俺が愛するのは、これから先もずっと智くんだけ。だから、ずっと俺の側にいてください」
まっすぐで誠実な漆黒の瞳が、俺だけを映しながら最上級の愛を囁いてくれる。
「…はい…」
胸がいっぱいになって。
目の奥もじんわりと熱くなって。
涙が溢れそうになるのを、必死に堪えて。
俺は頷いた。
「俺も…愛するのは翔ちゃんだけだよ。死ぬまで…ううん、死んでもずっと、側を離れないから」
「…それ、ちょっと重くね?」
翔ちゃんは、優しく笑って。
とびっきり甘い
誓いのキスをくれた