第1章 協奏曲 ─concerto─
「ふ…ぁ…」
そのまま、脳みそビリビリに痺れるような甘くて長いキスをして。
翔ちゃんの唇が離れていくと、もう体に力なんか入らなくなっちゃって。
俺はくたっとその胸に寄りかかった。
「どうしたの?俺のキス、そんな気持ちよかった?」
「うん…すんごい気持ちよかった…」
「ふふ…そっか」
翔ちゃんは満足そうに微笑んで。
俺の頭を何度も撫でてくれる。
その手の温もりを感じながら。
翔ちゃんの命の音を感じながら。
見上げた空には、ぽつりぽつりと見える星の瞬き。
「星…綺麗だね…」
「うん…でも、やっぱ東京じゃあんまり見えないなぁ…」
俺の言葉に、ちょっとだけ残念そうに呟くと。
翔ちゃんは俺を抱いた手とは反対の手を伸ばして、俺が買ったランタンにそっと触れた。
「今度はさ…もっと星がいっぱい見えるとこ、行こうか?」
「え…それって、キャンプ?翔ちゃんも、一緒に行ってくれるの!?」
思わず体を起こすと。
翔ちゃんは微妙に眉をひそめる。
「いや…星が綺麗に見えるホテルとかさ…あるじゃん?」
「えー!?キャンプがいいっ!地べたに2人でごろんと寝転んでさ…満天の星空を見上げるのっ!降ってきそうなくらいの星の下で、手ぇとか繋いでさ…きっと、すーっごくロマンチックだよ?」
翔ちゃんが意外にロマンチストなのを知ってるから、それを刺激してやるような言葉を紡ぐと。
ぴくん、と眉が上がった。
お!
いい感じじゃね!?
「そぉ…?」
「うん!準備とかは俺がぜーんぶやるからさっ!翔ちゃんは、自然を満喫するだけでいいからっ!」
「そんなの…俺だって手伝うよ。2人で行くんだから、2人でやった方が楽しいじゃん?」
「そっか。そうだよね」
「うん」
「じゃ、約束ね?」
そう言って、小指を立てて突き出すと。
優しい顔で微笑みながら、自分の小指を絡ませてきた。
よっしゃーっ!
キャンプ、決ーまりっと!!