第5章 *あとがき*
この度は今作をご覧くださり、本当にありがとうございます。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
愛を知らない少女が、武器だった過去を経て、自動手記人形となります。
武器として人を殺め、その同じ手で人を結ぶ手紙を書くことに悩み、苦しみながら、それでもたくさんの『あいしてる』の心に救われて、少しずつ笑うようになっていきます。
最後の作戦でギルベルト・ブーゲンビリア少佐は未帰還兵となり、消息不明のまま亡くなったと知らされたヴァイオレットは、少佐の名前が刻まれた墓石の前で立ち尽くし、瓦礫の山と化したインテンス総本部で静かに泣き崩れます。
大陸鉄道の爆破を阻止するべく、敵の殲滅にあたるディートフリート・ブーゲンビリア海軍大佐と、不殺を誓ったために傷を負ったヴァイオレット。
目的地へ向かう列車の屋根の上。
『だから守れなかったんだ。お前のせいで弟ギルは死んだ。お前も死んでしまえ』
『少佐はそれでも生きろと。私も守りたかったんです!!』
ギルベルトを毛嫌いしていたと思われた兄のディートフリートも、実はギルベルトを愛していて、未帰還兵となったことで、ヴァイオレットと同じように傷付いていたと、その時初めて分かります。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンはどのシーンも、欠けては最後まで語れないほど、取り巻く全てのことが回を追うごとに感動を呼びます。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、深く私の心に入り込んで、未だに思い出し泣きをしてしまうくらい大切な作品です。
私にとって神聖な作品とも言えますが、だからこそ、汚してしまう予感しかなく、ずっと公開せずにおりました。
しかし映画が公開され、ぜひヴァイオレットのことを知っていただきたいという想いが強くなり、公開となった次第です。
正直、汚していない、とは言いきれません。
汚さない気概で書いてきましたが、貶めてしまった部分もあるかもしれません。
よろしければ、皆様が本家様と今作とを見比べていただき、決していただけないでしょうか?
劇場へ足を運んでくださる際は、感染症予防に万全を期していただき、大判バスタオル3枚をご準備ください。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンに関わる全ての人へ、愛をこめて。