第1章 自慰
わたしの彼氏は、ドMだ。
セックスの時はいつもわたしが攻めているし、彼は攻められて悦んでいる。それが良くて付き合っているのはあるけれど、たまには違うこともしてみようかな。
ねぇ、と名を呼ぶとくるり、と振り向く彼。
「……わたし、あなたの自慰が見たいなぁ……」
とんだわがままだろうか。でも、ドMな彼のせいでわたしがドSになってしまったのは事実だし、1度見てみたいという気持ちはあるのだ。自分でも変態だとは思うけれど。
「え……?」
それってどういうこと……?と首を傾げる彼。そりゃそうか。急にこんなこと言われても理解できないよね。
「ええと、もう1回言うね?」
自慰が見たいです、とわたしは改めて言う。
「……ほんと…??見ても絶対引かない…?」
「何言ってるの。わたしはあなたのことが好きなんだから、見たところで引く訳ないでしょ」
わたしがそう言うと、彼の頭の上に『!』というマークが浮かんだ気がした。
「じゃあ、ちょっとまっててね……!」