第20章 あと2つ

対仙泉戦。

青道は5回終わって無得点。
先制を許していて追いかける形で試合は進んでいた。

亮介先輩の打順。
マネージャーみんなで目で合図して、亮介先輩の名前を大声で呼ぶ。

亮介先輩のバットから快音が響いた。

「やったー！ヒット出た！」
「打った打った！」

ここからクリーンナップだし、チャンスと見てスタンドの応援も熱が入る。

純先輩はレフトライナー。
哲先輩が右中間を鋭く抜いていく。

1死2.3塁。

3塁ランナーの亮介先輩、なにか動きそうな気配…

ウガ先輩のサードゴロの間にホームへ突っ込んでいく。

「当たり負けしなかったね…強気の走塁…すごい…」
「でも、亮介先輩大丈夫かな…。」
「次、御幸だ！打てよ、コラー！！一気に逆転だーー！」


御幸くんは勝負してもらえない。
フラストレーション貯まるだろうなぁ…。

ボールに威力が増して、次の打者は三振に倒れる。

代打に春市くん。
と言うことは…丹波さん…。


追い込まれてからのカーブを弾き返した。

「お願い、抜けてーー」





走者一掃のタイムリーツーベース！
すごい！春市くん、また打った！

かわいいんだよなぁ、春市くんのガッツポーズ。

沢村くんの代わりっぱなを攻められて、ノーアウト1.3塁。
落ち着いて…。


打ち取ったと思った当たりが亮介先輩の後方に落ちる。
難しい打球だったとはいえ亮介先輩なら…。
やっぱりこの暑さの中、連日の試合の疲れがあるのかな…

1点返されて、すかさず送ってくるクセのある野球。

ジワジワ迫ってくる感じが気持ち悪い。


バッターは向こうのエース。
ファールとはいえ、大きい当たりを何度もされたら、あの轟くんのホームランがチラつくよね。

沢村くん、頑張れ。

「あ、御幸くんが…笑った…」
「御幸、笑ってるの？！」
御幸くんの構えはインコース。

バッターは手が出なくて見送った。

周りが盛り上がる中、私は今投げ込まれたボールに武者震いしていた。

フォームはめちゃくちゃなのに、クロスファイアって…さすが沢村くん。

終盤追加点を取ることができ、点差もついた。
ノリくんが1点取られてはしまったけど、最後は倉持くんから哲先輩へ。

3年ぶりの決勝へ。