第15章 舞台へ
デッドボールで出したランナーをちゃんと目で牽制して、フィールディングもいつも通りできていた。
ゲッツーを取って沢村くんは吠えていた。
2つフォアボールを出したけど、そのまま無失点で4回裏をしめた。
5回表、1死2.3塁で代打に小湊春市くん。初球から振っていった。
「お見事!さすがだなぁ、春市くん」
沢村くんの代打ってことは、5回裏はノリくんの登場。
危なげないピッチングで3人でピシャリ。
さすがだなぁ。
学校に帰ったら、同時刻に行われていた市大三高のDVDを見て配球表を書く。
高島先生が球場に行って撮ってきてくれていた。
反省会という名のダメ出しが終わって御幸くんが配球表を見にくる。
「おめでとう、お疲れ様。できてるよ」
「舞ちゃんもおつかれ。さっすが!仕事が早いね」
9回までやってないとはいえ、疲れてるはずなのに、本当に研究熱心だなぁ。
「そんなに見つめられたら集中できねぇって」
あ、ヤバ…見てたのバレた。
「男前?」
「うん」
「っ、ばか。すんなり肯定すんなよ!こっちが恥ずかしいだろうが」
「聞いてきたのは、御幸くんでしょ?」
男前か男前じゃないかって言ったら、御幸くんは確実に男前だし。
そう思ってるのは本当。
「なんで照れてるのよ」
「はいはい、聞いた俺が悪かったです」
ぎゃあぎゃあ騒いでいたら倉持くんにうるせぇよと一喝された。
「じゃ、これ借りてくな。」
ポンポンと頭を撫でていかれた。
自主練も切り上げた人が大半なのに、沢村くん降谷くんはまだ走っていた。
「試合してきたのに、元気だね。休んどくようにクリス先輩に言われなかったの?」
ドリンクの入ったボトルを二人に渡した。
「舞姉さん!あざすっ!」
「頑張って投げたね。えらいえらい」
バテて寝転んでいた2人の頭をなでなでした。
御幸くんの気持ちがちょっとだけわかった気がする。
なんだこれ、めっちゃかわいい!
大型犬みたいな沢村くんと、猫の降谷くん
2人とも黙って撫でさせてくれる。
「先輩方からはダメ出しばっかだったから、なんか照れるっすね」
「褒められた。」
弟ってこんな感じかな?