第15章 舞台へ
背番号を渡す為に集められた。
丹波さんも、顔にまだ痛々しいテープは貼ってあるけど、痛みは引いたらしい。
この瞬間は何回経験しても緊張する。
エースナンバーは丹波さんに。
次々と名前を呼ばれて、最後に沢村くん。
名前を呼ばれる前に大きな声で返事をしていた。
今日は、忙しくなるぞ!背番号を縫い付けなきゃ。
貴子先輩が監督にお願いして時間をもらった。
マネージャー全員で作ったお守りを選手全員に渡す。
片岡監督や大田部長、高島先生にも。
みんな本当に喜んでくれて、頑張ったかいがあったねとマネージャーみんなで笑った。
監督からマネージャーにも試合用のユニホームを渡された。
チームの一員として認めてもらえたみたいで嬉しかった。貴子先輩も感激して泣いていた。
スタンドから全力で応援する。私達にはそれしかできないけど、声が枯れたって最後まで声援を送り続けようと心に誓った。
青道コールをして、さらに気合が入る。
「舞ちゃん、今回もお願いしてい?」
もう何度目かな。2番の背番号をユニホームに縫い付けるの。
「謹んでつけさせていただきます」
御幸くんから渡された背番号とユニホーム。
「あれ?ユニホーム2枚あるよ?」
「あぁ、それな。監督が用意してるなんて思わなかったからさ、選手で話し合ってマネージャー達に予備のユニホーム渡そうって。
だから、それは舞ちゃんに。」
ほら、と指さされた方を見てみると、純先輩は貴子先輩に。
幸ちゃんと唯ちゃんも選手からユニホームを渡されてて、春乃ちゃんは沢村くんから。
「ありがとう!私でいいの?」
「他に誰がいんの。」
「これも着させてもらう。本当にありがとう!」
「お守りのお礼だと思ってよ、舞ちゃんだろ。これ作ってくれたの。」
「うん。」
背番号つけに気合が入る。
いつもより丁寧に綺麗に。ひと針ひと針想いを込めて縫い付けた。
「御幸くんいる?」
彼の部屋をノックすると中から御幸くんがでてきた。
「ごめんね、今大丈夫?これ、縫い付けたから持ってきた」
「サンキュー、仕事早えな」
入ってって言ってくれて、ちょっとだけお邪魔することにした。