第65章 ※ みんながいるのに
さっきつけられた赤い花も見えていた。
慌てて上までファスナーをあげる。
一也が起きてなくて良かった…。見られてたら発狂していたかも…。
沢村くんは一也の部屋に走って枕を取りに行き、春市くんは余ってる布団を取りに行った。
「わり…見るつもりはなかった…」
「こ、こっちこそ…お見苦しいものを…」
「お前はまじで無防備すぎる。御幸はここに寝かせとくから、お前はあの2人戻ってきたら送ってもらえ。」
「うん、でも…一人でも…」
「ばーか、お前に何かあったら、こいつから怒られるのは俺だ。」
「ごめん…」
春市くんたちに夜食の買い物を頼んで、そのついでと言う事で女子寮までつきてきてもらった。
「2人ともありがとうね。」
「また対戦しましょう。」
「明日こそは納豆克服します。」
むんっと沢村くんは意気込んだ。
「無理しなくていいよー。おやすみ。」
倉持くんに指摘されちゃったから、今日は早く寝ようと試みてみたものの、変に眠っちゃったから、目が冴えてる。
一也も起きたみたいで夜中にメールが入った。
やり取りをベットの中でしていたから、最後に返信できていたのかわからない。
朝起きたらスマホを握りしめたまま眠ってた。
二人揃って授業中に大あくび。
ばっちり倉持くんに見られてた。
合宿の総決算、練習試合が始まろうとしていた。
私は落合コーチの付き添いで抽選会へ。
「いいくじ頼むな。」
「シードだし!付き添いだし!」
「シード持ってない強豪来るなって念飛ばしてこい。」
そんな無茶な…キャプテン副キャプテンの圧がすごい。
シード権がないチームがどこに飛び込んでくるか…
怖いチームばっかだしなぁ。ほんと激戦区。
強豪を倒していかないと甲子園への道はない。
会場に入ると独特の空気感にちょっと緊張してしまう。
「落合コーチ!頼みますよ!」
「はいはい、変なプレッシャーかけんでくれ。」
「舞!」
「あっ、俊平!」
落合コーチは席を取りにいって、私は俊平とおしゃべりをした。