第64章 夏合宿
「私は全然取れてない。」
「舞は俺とコミュニケーション取るの。」
抱っこされたまま一也は階段を上がっていく。
一也の部屋じゃないか。
木村くんはいないみたいだけど。
「することあるってどうせ夜ふかしするんだから、今は眠っとけ。
膝貸してやっから。
それともベットで一緒に寝るか?」
「膝をお借りします…。」
一緒にベットに入ったら絶対それだけじゃ済まない。
一也のスペースの一番奥で横になる。
ブランケットをかけてくれて目を閉じるとあっという間に眠りに落ちた。
どれくらい眠ったかな。
パチッと目が覚めて一也を見上げると、彼もまた居眠りしていた。
疲れてないはずないもんね。
あれだけ動いてるんだし。一也の横に座り直して一緒にブランケットに入った。
スースーと気持ちよさそうに聞こえくる寝息。
一也の肩にもたれ掛かって、手で遊んでみた。
ゴツゴツしてて、掌には豆がたくさん。
でも、ピッチャーみたいにきれいに整えられた爪。
掌を重ねてみると、自分の手が子供みたいに思えてくる。
綺麗だけど男らしい手だなぁ。
今までこの手にどれだけ助けてもらっただろう…。
前触れもなく、ぎゅっと握られて、びっくりして変な声が出た。
「起きたんだったら声かけてよ…」
「手を見て顔赤らめて、なんかエッチなこと考えてた?」
「ち、違う…」
なんでバレてるの?
この手にいつも気持ちよくしてもらってるんだなってちょっと思っただけなのに…。
頬を絶妙なタッチで撫でられていく。
髪を耳にかけられてた。フイっと顔を背けたら、お気に召さなかったのか、逃げられないようにガッチリ抱え込まれて、いきなり舌をねじ込まれる。
向かい合った状態から足の上に乗せられて、抱きしめられた。
「これ、恥ずかしい…降りる。
重いでしょ?」
「だーめ。もうちょっと…。全然重くねぇし。」
倉持おんぶしてダッシュしたんだぞって冬合宿の時の話をした。
この体勢、一也のこと跨いでるから、少しでも動くと敏感な所一也のと擦れて変な気分になる。
それに主張し始めてるし…ダメだよ。
鍵かけてないし、木村くん奥村くんが戻ってくるかもしれないのに。