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ダイヤのA 御幸一也

第63章 白羽の矢


「ごめん、今気づいた…。次の駅にいるから、戻るね。」

「後で詳しく聞くからな。ホームで待ってる。」


通話を終えて、表示された不在着信の数に驚いた。

すぐに来た電車に乗り込む。
ホームに降り立ったら、一也が走ってきた。

「何もされてねぇか?」
「いじわるしたかったんだって。」
「なんだよ、それ…。」

赤くなってる手首に気がつかれて、一也の目の色が変わった。

「大丈夫か?帰ったら冷やそうな。」
「平気だよ。こんなの、すぐ治るから。」

人がたくさんいるのに、赤くなった手首に一也の唇が触れた。
「消毒。」
「恥ずかしいってば…早く帰ろう!試合結果も気になるし。データ纏めなきゃいけないんだから。」


学校までの帰り道、一也はずっと怒ってて成宮くんに怒りのメールを打っていた。

「つうかさ、わざとやってるって気づいてたんなら言ってくれよ。」
「別れたら言うつもりだったんだけどね。まさか本人に言うとは思わなくて…優しいなぁって思った。」
「このまま青道に持ち帰ってみんなに伝えてたらどうなってたか…。」
「タコ殴り?」
「シャレになんねぇ…」



スタッフルームに選抜の報告に行って小野くんの怪我を知った。
なんで…今なの…。
なんて言葉をかければいいのか。

痛いはずなのに…御幸くんを交えての試合の振り返りにもきっちり参加して…。
すごいよ。

映像を見れば、小野くん離脱の後、みんながどれだけ必死だったかわかる。
一年生のキャッチャー2人もすごく頑張ってた。

わかってるよ。
私が落ち込んでも仕方ないって。
でも、秋の関東大会の時のスコアブックをコピーしてってお願いされた時の小野くんを知ってるから。
どんな気持ちで一也が抜けたのを纏めようとしてたか、わかってるから余計辛い。

配球表が出来上がったのは、もう夜遅かった。
スタッフルームの灯りがついていたから、持っていく。
「ご苦労だったな。」
よく見えなかったけど、誰をベンチ入りさせるのか思案しているといった感じ。

小野くんはどうなるんだろう…。
ベンチ入りメンバー発表まであと少し。
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