第62章 激戦
「決勝、見に行くのか?」
「うん、ナベちゃんと行ってくるよ」
白龍対稲実
成宮くんの仕上がりが気になる。
夏、絶対避けて通れない道だから、少しでもデータが欲しい。
帰って来てからみんなで試合内容を振り返った。
やっぱり成宮くんのチェンジアップはすごい。
あの美馬くんでさえバットに当てられなかった。
ポチポチと珍しく携帯を触ってる御幸くん。
きっと美馬くんにメールしてるんだろうな。
「舞、ちょっと来い。」
バット持ってどっかに行ってたのに、マネ室に飛び込んで来た一也。
「な、何?」
「鳴に絡まれたって?」
「いつものじゃれ合いだよ。月末は一也は俺らのチームだからなって。
3日だけでしょ?って言い返しといた。」
美馬くんだな…告げ口したの。
怪訝そうな表情を球場で向けられたから。
「成宮くん、ほんと一也のこと好きだよね。さっさと別れろーって言われちゃったよ。」
「それは聞き捨てなりませんなぁ。」
球場で、私と成宮くんが言い争ってたら初見の人はびっくりするよね。
「ちゃんと帰って来てよ。」
「なんの心配してんだよ。」
「成宮鳴だけには負けたくない。」
「仲良くしてくれとは言わねぇけど、目立つのは避けて。」
そりゃそうだ。
反省します。
「美馬くんなんかいってた?」
全然嬉しくないって、青道が成宮くんと天久くんを打ち崩せるのか心配していたそう。
「打ってやるさ」
頼もしいよ、ほんと。
一也だけじゃない。
沢村くんの成長もあるし、降谷くんだって復帰できる。
「次の試合が楽しみだね。」
「そうだな。」
奥村くんもスタメンマスクをつけるみたいだし。
試合、全部見たい!
一軍の試合は同時進行で、二軍の試合はDVDで。
配球表をつけ終わると、瀬戸くんと奥村くんがやってきた。
「キャプテンが、あなたがそろそろ配球表をつけ終わる頃だから、見せて貰えって。」
「うん、できたよ。」
「なんすか、これ…やばくないですか…。」
球種とコース、どんな結果だったか。見送ったのか空振りだったのか。
何球投げたのか、打球が飛んだのは右か左か、それを見ればすぐにわかるようにいろいろ工夫してきたつもり。
「誤解してました。」
「へ?」