• テキストサイズ

ダイヤのA 御幸一也

第59章 事件


その日はいつもと違った。

いつもなら御幸くんの取り合いを沢村くん降谷くんがしているのに、小野くんを指名して由井くんもバッターボックスに立つと志願してた。

降谷くんがチームメイトに歩み寄ってる。
いい感じになってきたのかなって思った矢先だった。


「時間できちゃった。ロングTするからさ、投げてよ。」

「うん。わかった。」

バッティング練習する人、守備練習する人、集中力を高めてイメージトレーニングする人。
個々の能力をあげるための時間。

一旦片付けて夕食を取りに行くところだった。

「キャプテン!降谷さんが…」

降谷くんが背中の痛みを訴えてると由井くんが駆け込んできた。

「舞ちゃん、太田部長まだ学校のどこかにいると思うから呼んできて。車出してもらおう。」

「わかった。」

由井くんは監督室に。
私は職員室に。

監督、コーチ、部長が降谷くんに付き添った。

食堂で小野くんからどんな状況だったか詳しく聞く。

背中の痛みって事は…。
フォームを崩していたから出た、身体のSOSだったのかも。
自分のことばっかりでみんなの事ちゃんと見れてなかったのかもしれない。

なにが、いい感じだ。
悔しい!

そう思っていたのは私だけじゃない。
降谷くんが帰ってくるのを寮の前で待ってた。
降谷くんを見る御幸くんの目。

ふたりが考えてもっと成長したいって求めてるからこそ、御幸くんはパートナーとして信じてやりたいし力になりたいって言ってたから…。
きっと御幸くんも悔しい思いをしてると思う。

ゾノくんが彼らしい言葉で降谷くんを励ました。

それを聞いていた御幸くんは頭を髪をグシャって握ってた。

「御幸!矢代も行くぞ」

「うん。」

行こうと御幸くんの手を取った。

「いいんじゃない?ゾノくんはゾノくんで御幸くんは御幸くん。
面倒見いいのがゾノくんのいい所だし。
御幸くんは言動で3年生のお尻叩けてるから、そんな顔しないで。」

「心ん中読むなよ…」

「負けられないんでしょ?」

それぞれがそれぞれの役割をキチンとこなしてるから、大丈夫。
このチームならもっともっと成長できるってそう思える。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp