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ダイヤのA 御幸一也

第58章 お互いの気持ち


ミーティングが終わって食堂から飛び出してきた沢村くんは元気いっぱい。
野球ノートを大事そうに抱えてる。
いいことでも書いてあったのかな?


一方降谷くんは…
浮かない顔をしていた。

小野くん由井くんのあとを静かについていっている。

「どうかした?」

「いや…」

小野くんに降谷くん借りるねと断ってゆっくり話せる場所に来た。

「はい、これ!」

「チョコレート?北海道の?どこで?」

北海道フェアをやっているスーパーがあったから、買ってみた。
「美味しいよね、このチョコレート。
降谷くんにもおすそ分け。甘いもの食べて肩の力一旦抜こう。
あれ?御幸くんみたいに甘いもの苦手だったっけ?」

このチョコレートは好きですと、わかりにくいけど微笑んでくれた。

あと、スピードくじの景品。
私が欲しかったキャラじゃないから、シロクマ好きの降谷くんに使ってもらったほうがいいと思う。

「舞先輩に似てる…」

「え?こんなボヤッとしてるかな…」

フルフルと首を振った。

「癒やし系の所が…」

気に入ってくれたって事でいいのかな…。
マスコットのキーホルダーをモニモニとずっと揉んでいた。
わかる!わかるよ…。スピードくじの景品にしてはクオリティー高くて触り心地いいから、そうしたくなるよね。

「ありがとうございます。」

「ううん、自分がほしいのじゃなかっただけだからさ。
気にしないで。」

じゃぁねと手を振って練習に戻る。

これだけで、降谷くんの抱えてるものが軽くなるわけじゃないだろうけど、ちょっとだけでも、ひと息ついてほしい。
何かを吸収するためには、悪いものを一旦全部吐き出す必要があるから。



次の日の練習にはどこかのスカウトさんがやってきた。
御幸くんかな?降谷くん?

みんなの練習にも熱がこもる。特にゾノくん…いつもより声が出てる。

意識してるんだなぁ…

御幸くんはスカウトが来てようと来てなかろうと、関係なく今日も豪快に飛ばしていた。

「おぉー、今のは改心の当たり…」

「木製なのにすごいよね」

バッティングピッチャーをやり終えてダウンをナベちゃんとしながら御幸くんの打席に目をやる。

「調子いいよな。矢代は御幸がプロ行ったらどうする?」

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