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ダイヤのA 御幸一也

第49章 3年生


一言も喋ってくれないから、今日のお昼は別々かもな…と思って、作ってきたお弁当を休み時間彼が席を立った隙に御幸くんの机の上に置いておいた。


お昼休みになった時、誰よりも早く動き出して、私のランチバッグを持って早足で歩いていく。

どこに行くかくらい言ってくれてもいいんじゃないかな?

こっちの方向は、間違いなく部室だろうけど。


「喧嘩してんのに、作ってくれたんだな。」
「黙って帰ったのは、悪かったなぁって。
倉持くんが必死で私のこと探してたってメッセージ入れてくれてたし、ごめんね。」
「わがままなんだよ、俺。
甲子園の切符も、全国制覇って夢も舞ちゃんも全部欲しい。
どれも諦めるつもりねぇから。」

マネージャーとしては失格かもしれないけど、彼女としてはすごく嬉しい。
御幸くんの背中に張り付いて、お腹に腕を回した。

「ごめんね。」

「俺もごめん。もう黙って帰らねぇでくれよ」

仲直りして、お弁当を一緒に食べた。



各校の試合をマネージャーと偵察班でデータを取りに行く。
材料は多い方がいい。

「私はナベちゃんとか。よろしくね。」
「矢代と偵察行くと席取るの楽だから助かるよ。」

どういうことだ?と倉持くんが聞いていた。
「偵察で球場行くと、バックネット裏の1番いい席をおじさん達が空けてくれるんだ。矢代のファンみたいなもんだよ。お茶の差し入れなんかもしてくれてさ。高校野球好きのおじさん達に可愛がられてるよ。」

「初耳!だからか!矢代が偵察行った時の試合のビデオは真後ろから撮れてるんだな。」

「1年の時から行ってるもん。あの辺に座ってるおじさま達とは仲良しだよ。たまにライン来るし。
今日は来ないのかって。」

「おいおい…。ナベ、ほんと舞ちゃんの事よろしく頼むな。」

「御幸も大変だね。無自覚に老若男女に好かれる彼女を持つと。」
御幸くんとナベちゃんがなにやらコソコソ話をしていた。


手分けして取って来たデータを分析する。
投手ならカウント事に次何を投げてくるかとか、クイックモーションの秒数とか、打者ならインコースアウトコースどちらのヒットが多いかとか。
捕手の捕球してから二塁送球タイム
ちなみに御幸くんは1.83。

こんなキャッチャー他にはいないよ。

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