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ダイヤのA 御幸一也

第44章 ※ シルシ


春になったら新入生が入学してくる。
特待生、推薦入部、一般入部。

どんな子達が来るんだろうな。
今の1年生以上の個性の強い学年になるのかならないのか。

明日は特待生と推薦入部の子達の説明会。
主に親に向けてだけど、大田部長から説明があるらしい。
例年ならもっと遅い時期にやるんだけど、今年はセンバツがあるからこの時期になったらしく、昨日から大田部長があたふたしてる。

私は大田部長の手伝いで説明会の資料作りをしていた。

バタバタしている所に職員会議が始まると知らせがあり、後は任せたと大慌てで会議室から出ていった。

資料を必要な分コピーして、1つ1つホッチキスで止めていった。

あ、そうだ…倉持くんから机の中の教科書持ってきてって頼まれてたんだった。ここ終わったら忘れずに教室寄らなきゃなぁと考え事をしながらパチパチとめていく。

並べ終わったらもうとっぷり日が暮れていた。
「結構時間かかっちゃったなぁ…教室の鍵って開いてるのかな?」
独り言を言いながら薄暗い廊下を進んだ。

うわぁ…日の暮れた学校ってなんでこんなに不気味なんだろう。
やだなぁ…亮介先輩の怪談話思い出しちゃったよ…。
亮介先輩の話って格別怖いから軽くトラウマ。

そろーっと教室の扉を開ける。
その時後から肩を叩かれた。

人間…本当に驚いた時は声って出ないんだな…。
ひゅっと喉が鳴った。

「舞ちゃーーん」

「ーーーーーーっ!」

振り返ると御幸くんがヒラヒラと手を振ってた。
ヘナヘナとその場に座り込んだ私と目線を合わせて、御幸くんが意地悪に笑う。

「びっくりした!!びっくりした!!ばかー」
「ごめん、ごめんてば…痛いって殴らないで」

ポカポカ胸板を叩いたら、辞めさせる為に抱きしめられる。

「遅いから迎えに来た。」
「まだ心臓バクバク言ってるんだけど…」

御幸くんの体温と鼓動に安心する。

「驚かせてごめん。」

「ん…」

御幸くんが立たせてくれて、また彼の腕の中に収まった。
教室の扉はいつの間にか閉められていて、シーンと静まり返った教室に2人だけ。

頬を両手で包まれて上を向かされる。
メガネの奥で光ってるのは雄を感じる瞳。

唇をペロッと舐められて、それからソッと唇が重なった。

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