第1章 一年生
野球をやりたかった
どうして私は男の子に生まれなかったのかな…
双子の兄と一緒に小さい頃から野球が身近にあって、リトルリーグまでは一緒にプレーできてた
シニアに上がると女の子だからとチームから弾かれた
体格に恵まれている女の子は男の子に混ざってやってる子もいたけど、私には無理だった
それでも野球を諦めたくなくて、影でコソコソ練習してた。
兄の練習にくっついていっては、チョロチョロして、見てくれとアピールしたり。
それでも、女の子は危ないからとチーム練習には混ぜてもらえなかった。
見兼ねたコーチがスコアーの書き方を教えてくれた。
いつの間にかマネージャーをやらせてもらっていた
兄はピッチャーで、他のチームの御幸一也くんのことをベタ褒めしていた
向こうが兄のことを知っているかどうかはわからないけど、彼のキャッチャーとしてのセンスにすっかり惚れ込んでいた
どこから聞きつけてきたのかわからないけど、御幸一也が青道に入学すると聞いて兄もまた青道行きを決めた
エースとなってバッテリーを組みたいと毎日言っていた兄が…まさか、交通事故でこの世を去るなんて思ってなかった
どうして…兄が?!
なんで?!
そう自問自答しながら、兄の夢がいっぱい詰まった青道を私は受験した
入学式が終わってすぐに野球部の部室を訪ねる。
「マネージャーとして、入部希望です!
マネージャーさせてください!」
先輩マネージャーの皆さんに一瞬驚かれたけど、快く受け入れてくれて、明日からお願いねと言われたけど、ジャージはもう準備してきていたから、今日からお願いしますと言うと早速監督や部長、副部長の方々に会わせてもらえた
高島副部長は私の顔を見るなり少し驚いた顔をした
「あなた…もしかして…」
兄のことを覚えててくれたみたいだ…
「よろしく頼むわね」と肩をポンと撫でてくれた。
「私に何が出来るか、わかりませんが、精一杯頑張ります」
部員のみんなの前で挨拶をした。
100人近くを前にすると、緊張して噛みながらだったけど…
全体練習が終わっても、自主練する先輩達
強豪校ってすごいな…
やらされてる練習じゃなくて、文字通り自主的にやってる。
ボール拾いを手伝いながら、名前と顔を一致させていく。
御幸一也は早速一軍の練習に混ざってるみたい
さすがだなぁ…