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ダイヤのA 御幸一也

第39章 御幸の気持ち ⑤


クリスマスが楽しかったからこその落差。

今が何日なのか
後何日あるのか、わからなくなるほど。
身体が壊れるって本気で思った。
必死に歯を食いしばって、誰も離脱せずに冬合宿を終えた。

これだけ苦しい思いをしたけど、いつの日にか懐かしい思い出になるのか…。


「お疲れさま。」

「もうやりたくねぇ…」

「みんなでやりきったのすごいよ。かっこいい!」



俺って案外単純だったんだな…

舞ちゃんがかっこいいって笑顔で言ってくれただけで、疲れも吹っ飛びそうだ。

「充電させて」

ギュッって力強く抱きしめたら、優しく抱きしめ返してくれた。
精一杯背伸びして、頑張ったねって頭をなでてくれる。

母親ってこんな感じか?と舞ちゃんの母性を感じた。
身体は小さいけど懐が大きくて優しくて暖かい。

このまま連れて帰りてぇな…。


「うちに来るの明日で平気?」

「元旦からお邪魔しちゃっていいのかなぁー?と思うけど、私は大丈夫。」

2日の午後にはもう寮に帰るからゆっくりできるのは元旦だけ。

父さんは毎年恒例の新年会に午後から出かけるだろうから、午前なら舞ちゃんと会わせる事ができそうだ。

「駅に迎えに行くから。」
「うん、ついたら連絡するね。」
「違う。舞ちゃんの最寄り駅。」

この前あんなことがあったばかりだから、一人で行動させたくない。
遠慮しまくっている舞ちゃんを言いくるめて迎えに行く事を了承させた。



家に帰ると父さんが寿司を取ってくれてた。
毎度のことながら少し照れくさい。
工場に顔を出して、手伝うことはないかと尋ねた。

「ねぇよ。
せっかく帰ってきたんだ。休んでろ。」

「暇なんだからなんかさせてよ。
あ、それから明日彼女来るからよろしく。」

それを早く言えとドヤされた。

工場より家の掃除を頼まれた。
つってもそんな汚れてねぇけどな。
一人でどうなるかと思ったけど、ちゃんとしてるみたいだ。

飯は…そうでもないか。
出来合いのものか弁当。こりゃ絶対野菜不足。
寿司の他に煮物でも作っとくか。
久しぶりにキッチンに立つ。
ガキの頃は高く感じていた作業スペースも今の俺には低すぎる…。
腰が痛くなりそうだなと思いながら、里芋の皮を剥いた。
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