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ダイヤのA 御幸一也

第39章 御幸の気持ち ⑤


「やっぱり熱出ちゃったから、今日は学校も休むって。」

「そうか。悪いな…ありがとう。」

朝、教室でそう聞いた。

舞ちゃんがいないってだけで、どうしてこうも退屈なんだろうか。
話してなくても、友達と楽しそうにしてるのを眺めてるだけでもおもしろかった。
今日の授業は長く感じそうだな。


「矢代のやつ休みだって?大丈夫なのか?」

「ひどい怪我だったのか?」

心配して、倉持とナベが俺のとこにきた。

「捻挫の熱だと思う。よくあるだろ、きつい捻挫したら熱出るやつ。」

「あー、あれね。
疲れも出たんじゃない?データ集めかなり手伝ってくれてたし。」

「選抜の出場校まだ発表されてねぇのに、各ブロックの準決勝、決勝の映像をどこからか集めてきてスコアブロックに落としてるの見たときは、こいつ正気か?って思ったね。」

「一生懸命でほんといいマネージャーだよ。」

「やんねぇぞ。」

彼女を褒められて嬉しいはずなのに、独占欲が湧き出てきた。

休み時間になる度に部員が舞ちゃんにってあれやこれや持ってくる。
スポーツドリンク、ゼリー飲料とか、これ効くんだと湿布まで。
彼女がどれだけみんなに愛されてるか、この貢物を見れば一目瞭然。

2年だけじゃなく、1年さらには先輩達まで。
誰かが持ってきてくれた段ボール箱にいっぱいになった。

これを友達に託すのは申し訳無さすぎるから寮まで運んだ。

「舞、起きてるか見てくるからちょっと待ってて。」

管理人に横目で睨まれつつ、敷地内には入ってませんアピールをした。

危なっかしい松葉杖姿でやってきた舞ちゃんは髪が少し濡れてた。

「舞ちゃん、無理すんな。」

「大丈夫、熱下がったし。そこまで行くからちょっと待ってて。」

ひょこひょこと、かなり危なっかしいくて見てらんねぇ…

「はぁ〜やっとこれた。
昨日よりうまくなったでしょ?
でも、腕が筋肉痛になりそう…」

思ったより元気そうで安心した。

「うまくなってねぇよ。転けるんじゃないかってヒヤヒヤする。
熱、やっと下がったのに頭濡れてたらまたぶり返すぞ。」

「会いたかったから、急いで来ちゃった」

へへへと顔を緩めて笑う舞ちゃんを気づいたら抱きしめてた。

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