第38章 御幸の気持ち ④
「で?結局お前ら最後までヤッたの?」
たまり場と化した俺の部屋。
ボーイズトークが繰り広げられた。
「野暮な事聞くなよ。むしろ聞きたくねぇわ」
倉持、よく言った。
もっとやれ。
ヤッたと言えば想像すんだろ。
そんなこと想像されんのも嫌だわ。
降谷バリのつーーーんを噛まして枕に顔を埋めた。
最後までなんて、できねぇよ。
怖いって声も出さずにハラハラ泣く子に無理強いなんてできない。
慣れてもらうしかないのは、わかってるけど…
時々、聞かせてくれる甘い声をもっと聞きたくて、いつぞやも押し倒してしまった。
身体を触らせてくれるようになったのは進歩。
気長にいかせてもらう。
「なぁなぁ、あいつ何カップあんの?」
「お前いい加減にしろ。自分で聞け。んで、殴られてこい。」
下世話な話を振ってくるこいつに心底苛ついた。
想像してんなよ。
倉持が摘み出して、ベットの横で胡座をかいた。
「御幸、真面目な話するぞ。」
「なんだ改まって。」
「お前と矢代が付き合ってるってOB達の耳にも入り始めてるらしい。オフ明けお前が不調だったら、矢代が何言われるかわかんねぇぞ。そのへんわかってるか?」
プライベートなことだから、放っておいてほしい願望はある。
でも、その問題は避けては通れないだろう。
身体の線が細いからもっと食えとか、もっと素振りしろとか
走り込んだ方がいい、筋トレはやってるのか?
外野は好き放題言ってくる。
強豪校ではよくある話。
彼女でも作れよなんて声かけて来る人もいるが、できたらできたて何癖つけてくる一部の人たち。
それがもし、舞ちゃんの耳にでも入ったら、彼女を傷付けかねない。
「倉持…お前…優しいんだな…」
「おめーの心配してねぇよ。
あいつだよ、あいつ。泣くだろ、確実に。
矢代はお前が思ってるほど強くねぇよ…。俺達が知らないところで泣いてたりするんだよ。」
外野はマネージャーの仕事もよく見てる。
それじゃダメだとダメ出し食らってる所も見かける。
後輩や同級生を履けさせて、苦情を一身で受け止めていた。
練習が終わったあとこっそり泣いてるのも、知ってる。
俺からやめてくれるように言おうか?と提案したこともあるが、大丈夫と言ってのけてしまう。