第37章 御幸の気持ち ③
女子寮に忍び込んでる男子生徒は結構多い。
舞ちゃんは真面目だからそんなこと知らなそうだけどな。
女子寮に彼女を持つ男子生徒の間では、秘密の通路なるものが存在してる。
絶対見つからないルートを共有してるわけだ。
もっと一緒にいたくて、つい来てしまう。
気持ちがようやく伝わって舞い上がってるかもな…。
クルクル表情が変わる舞ちゃんといるとマジでおもしろい。
照れて赤くなる顔も、拗ねてむくれてる顔も、困った顔も
全部俺だけのもの。
神宮大会の時、球場で会った真田に言われた。
「ぜってぇに泣かすな!
舞が俺に助けを求めて来たら遠慮なく奪うからな。」
「させるかよ。」
させてたまるか。
名前で、しかも呼び捨てにしてんじゃねぇよ。
そんなことでさえイチイチ気になる。
情けねぇな…。
どっから聞きつけてきたのか、よく見てる奴だから気づいたのか、倉持からも発破をかけられた。
「ライバル多いんだからボサッとしてたら、あっという間に奪われるぞ」
不吉なこと言うなよ。
こっちはなんとかして繋ぎ止めておく事に頭いっぱいなのに。
テレビでは、クライマックスシリーズだか日本シリーズだか
プロ野球の試合をしていた。
真剣に観ている舞ちゃんを後ろから抱え込んで一緒に観戦しているが、やっぱ野球は観るよりやりたいと思いあまり内容が入ってこない。
「つまんない?」
「観てるとやりたくなるからな」
「そっか…ごめん、気が付かなかった。他の見よう!」
「いいよ、観てても。俺は舞ちゃんにくっついてるだけで満足だから。」
ほら、耳まで赤くなった。
これが可愛くてたまんねぇ。
風呂に入ったのか、髪からいいニオイがする。
前にも注意したと思うんだが、この子は基本薄着。
指先とか冷てぇのに薄着。
かろうじて長袖は着てるが、下はショートパンツ。
男子高校生を舐めるなと言いたい。
嫌われたくないから必死に抑えているけど、触ったら気持ちよさそうなその太ももに触れたくてしょうがない。
ここで押し倒したら完璧に嫌われるよなぁと悶々としていた。
でも、髪の間から見える白い項。
たまらなくなって、そこに小さなキスを落とした。