第36章 何か変わった?
気持ちを伝えてもらって
自分の気持ちも伝えて…。
今日も今日とて、朝練は変わらずある。
顔を合わせたけど、昨日までとなにも変わらない挨拶をして、
教室ではみんなから、おめでとうと言われている御幸くんを眺めてる。
クラスの子たちに囲まれている御幸くんと倉持くんはなんか新鮮だ。
なんて言ったら怒られるかな?
いつも通りに進んでいって、彼氏とか彼女とか本当によくわからなくなった。
修学旅行中のお弁当作りは未だに続いているから、今日も作ってはみたけど、一緒に食べようって誘っていいのかな?
お昼休み、机の上に並べられたランチバッグとにらめっこしてると、御幸くんになにやってんの?って笑われた。
「ここじゃ落ち着かないから、移動しよう」
ほら、と手を出されたからランチバッグを渡した。
「ははっ、ちげぇだろ?ほら、手…」
手?
両手を出すと、ブレねぇなってまた笑われた。
「行くぞ」
手を取って歩き出す。
手を繋いでいるだけじゃなくて、指が絡み合って
これが俗に言う恋人繋ぎかと、変なことを考えてしまう。
急に恥ずかしくなって、みんな見てるよって御幸くんに伝えた。
「見せつけてぇの。舞ちゃんは俺の彼女なんだぞ。
手、出すなって言ってんの。」
ボンッて音がしたんじゃないかなって思うくらいに、一気に顔が熱くなった。
適当な所でお弁当を食べて、食後の飲み物を御幸くんに買ってもらった。
「全治3週間なんて大げさ言ってるけど、10日もあれば治るよ、これ。」
「肉離れなんて、って甘く見てると痛い目見るんだからね。」
くせになったら大変。
本人は納得しないだろうけど、多分神宮大会は難しいと思う。
監督もそう判断すると思う。
神宮大会が終われば長い長いオフ。
焦らずにゆっくり治して欲しい。
練習が始まる前に、御幸くんの怪我の状態をみんなに発表された。
ベンチからも外されて、キャプテンも倉持くんが代理を務めることになった。
監督の後ろでワタワタしてる御幸くんはなんだか可愛かった。
不服そうだけど、こればっかりは仕方ないよ。
ブルペンで椅子に座ってお小言言ってる御幸くん。
ナベちゃん達にも、焦るなって言われてた。