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ダイヤのA 御幸一也

第35章 決勝 薬師戦


「そんな見つめんなよ…ま、とりあえず舞ちゃんも座ったら?」

隣に腰掛けてみたものの、恥ずかしくてモジモジしてしまう。

「男として好きじゃないって言われたらどうしようかと思った。」

「男としても野球選手としても好きだし、かっこよかった。」

ハッ…待って…今、すごい事を口走ったかもしれない。
慌てていると、ガバッで抱きつかれた。


「人が必死で抑えようとしてんのに、なんでそういう事サラッと言っちゃうかな…」

「あっ、や…だって…本当の事だし…なんて言えばよかったのよ…」

「ハハッ!それでこそ舞ちゃん。なぁ、優勝のご褒美くれない?」

ご褒美?
なにか私にあげられるものあったかな?

頭にはてなを浮かべていると御幸くんが口を開いた。

「キスして。舞ちゃんから」

は?キスって…
唐突に無理難題を…。恋愛経験値皆無の私に言うセリフ?

「早く」と急かしてくる御幸くんに黒い尻尾が見えた。

こうなったらヤケクソだ!


意を決して御幸くんにキスをした。

ほっぺにだけど。

「あはっ、なにこれ。かわいい。」

クックッと喉の奥で笑うあの嫌な感じの御幸くん。

むぅとむくれているとごめんごめんと謝ってくる。

「キスの仕方もう忘れた?昨日散々しただろ?」

いきなり全面に男を出してくるのやめてくれないかな…。
ドキッとして、視線を合わせてられない。

頬にかかる髪を耳にかけて、頭の後に手を滑り込ませて、昨日みたいに唇が重なった。

角度を変えて何度も。

それだけでもついていくのがやっとなのに、唇の間から熱い舌が入ってきた。


浅く、深く。
酸素、思考を奪われた。御幸くんのに驚いて逃げ回る舌を彼は追いかけてくるみたいに、口の中を這う。

頭がジンと痺れてくるみたい。

「んっ……………ふぅ………んんっ……」

息をしていいのかわからなくて、一生懸命止めてるけど、そろそろ限界。

トントンと御幸くんの肩を叩いて息苦しさを訴えた。


「涙目になっちゃってかわいい。息はしてもいいんだよ。」

どうやって…そう言おうと思ったのに、間伐入れずにまた…。

ふわふわした頭ではもう何度目かなんてわからない。
息が整うのを待ってくれて、いつもとは逆に私が寮まで送り届けた。

別れ際におでこにされたキスでまた真っ赤になった。


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