• テキストサイズ

ダイヤのA 御幸一也

第35章 決勝 薬師戦


青道が2点リード。
みんなで作ったチャンスを掴んできた。

御幸くんはチャンスで凡退。いい当たりもあったんだけど、やっぱり怪我の影響かな…。
4番の宿命というか、顔ギリギリの危ないボールもあって…、ホームベース付近に座り込んだ御幸くんを見て思わず大声をあげてしまう。

「大丈夫だよ。当たってない。ちゃんと避けたよ。」

ナベちゃんにそう言われてホッと胸を撫で下ろす。

「マネージャーがそこまで心配してるのってもしかしてなんかある?」
「ううん、あの威力のあるボールがもし顔に当たったら…丹波さんの怪我もあるし…」

なるほどと納得してくれて良かった。

4回に逆転された。
3者連続フォアボールでノーアウト満塁。
バッターは御幸くん。

さっきまで荒れ狂っていた轟くんのボールが御幸くんの時だけ、ズバッと入るようになった。

「なに…あれ…」
「御幸のこと意識しまくりだな」

それにしても見逃し方といい、もう限界なんじゃ……。

ことごとく凡退している御幸くんの様子にだんだんと周りも疑問に思ってきたみたい。


同点に追いついて守備になかなかつかない選手達に観客達もざわつき始めた。

監督の声がスタンドまで届いてきた。

青道の野球…。
自分たちの野球。

この回のみんなの気合が伝わってきた。

いつもの御幸くんならきっと刺せていたはずの盗塁も送球がそれてしまう。

1点失ったものの後続は打ち取った。


高島先生に引きづられるようにベンチ裏へ向かった。

「あなた、気づいてたんでしょ?気づいたなら止めてほしかったわ。」

ドクターの診断は腹斜筋の肉離れ。
プレーに支障ないはずないと言われているところだった。

「御幸くんもあなたもクリスくんがチームを離れた事忘れたわけじゃないわよね?」

「舞ちゃんを責めないでよ、俺が黙っててって頼んだからさ。
今日か勝たないと神宮も甲子園もないんだよ、それに監督だっていなくなる」

監督がプレーを見て決めると言い切った。

「舞ちゃんは気にしなくていいからさ。
それより声いつもより出てないんじゃない?しっかり応援してくれよ。」

「うん。みんな逆転を信じてるからね!!」

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp