第34章 決戦前夜
ミーティングで降谷くんの状態を知らされた。
先発はノリくん。
ナベちゃんタイムが始まって、ランナーコーチからも一言あった。
みんなが力を合わせて戦ってる。
文字通り総力戦だ。
最後に…とキャプテン副キャプテンから挨拶しとくか?と大田部長。
それぞれがらしい挨拶をした。
倉持くん…ヤンキー色が出てる…。
御幸くんが最後に締めくくった。
自分の足で立ってみたい。
勝って行こう!甲子園!
力強い言葉、強い想い。
誰がキャプテンらしくないなんて言った?
今の言葉、ここにいる全員の胸に響いてる。
御幸くんは立派なキャプテンだよ。
3年の先輩達も激励しに来てくれた。
もちろん、貴子先輩も。
先輩達がいる。なんだか現役の頃みたいで嬉しいな。
おにぎりは先輩たちの分も。
御幸くん練習してるのかな…無理はしないでほしい。
もし…肉離れじゃなくて、骨折していたら?
選手生命に関わる怪我だったら?
「矢代、ちょっといいか?」
「倉持くん…」
「お前…何か隠してるか?」
「なに?なんのこと?」
「御幸、どっか痛めてんじゃねぇのか?」
さすが、亮介先輩の怪我見抜いただけの事はあるな…よく見てる。
言えない…。私も黙ってるからって約束したから。
「お前になら本当の事言うんじゃねぇかって思ったんだけど。」
「かいかぶり過ぎだよ。でも、もし、御幸くんが喋ってくれて隠したいって思ってるなら、私は絶対に言わないよ。」
「簡単に吐くわけねぇか…。
もしも、御幸が怪我してんなら、しっかりサポートしてやってくれよ。
もしもだけどな。
さて、明日、探り入れてみるかな。」
隠してごめん、倉持くん。
いつもより早めに自主練を切り上げて、これから選手たちは入浴タイム。
帰る3年生達にくっついて私も寮に帰った。
コンコンと窓ガラスをノックされる。
誰?
恐る恐るカーテンをソッと開けるとよッ!と御幸くんがニパッと笑っていた。
「ちょっとちょっと!ここ女子寮だよ?私がそっち行くって言ったよね。
見つかったらどうするの?」
「だからさ、早く中に入れて」
しょうがない…。
窓を簡単に乗り越えてきた御幸くんを招き入れた。