• テキストサイズ

ダイヤのA 御幸一也

第33章 成孔戦


ベンチ前で円陣を組んでる。
ベンチメンバーもスタンドのメンバーも精一杯声を出した。

1.2回で合計5得点をあげて、試合がきまったかと思っていた。


追いかけるのと追いかけられるのではまた違ったプレッシャーがある。
じわりじわりと降谷くんを追い詰めていく成孔打線。


降谷くんの様子がおかしいように思う。



「ねぇ…工藤くん…もしかして…」

「矢代もそう思うか?」

「うん…足、再発したのかも…」

ナベちゃんと工藤くんとベンチ裏に向かう。

やっぱり前と同じところ。
工藤くんの的確な処置のおかげで動きやすくなったとマウンドに戻った。


「御幸くんは背中平気?」

「痣確定だな。くそ重てぇの…」

あの球威のデッドボールは絶対痛い。
瞬間は息が止まると思う…


気迫のピッチングで失点を最小限に抑えたけれど、5-3

まだ2点あるとか思ってられない。

沢村くんが同点のホームランを浴びた。
あれだけブンブン振り回してくるんだもん…当たれば飛ばされちゃう。

打たれた後が大事。
御幸くんや周りが何度も言った言葉。
後続を打ち取って、8回裏の攻撃。

ランナーは度々出しているけど、あと一本が出ないのが続いた。
0が積み重なってそれが重くのしかかってる。

9回表の成孔の攻撃。
相手ピッチャーにヒットを許したけど、送りバントは沢村くんのダイビングキャッチで失敗した。

ここで回ってくるのが、1番乗せちゃいけない相手。
キャプテンでキャッチャー。
粘られて、間を抜けてレフト前へ。
レフトからの返球はストライク。

完全にアウトなのに、あのピッチャー突っ込んできた。


「御幸くん!!!!」

ふっ飛ばされたけど、御幸くんはボールを決して離さなかった。

御幸くんを称える歓声が響き渡る。


反撃の狼煙が上がったかと思ったけど、譲らない成孔バッテリー。

守備についた御幸くんを見て震えが止まらなくなった。


「矢代?真っ青だけど大丈夫か?」

「えっ…うん…」

あれだけの巨体に体当たりされれば、痛いところだらけだと思う。
でも、それだけじゃないという直感的に思った。

一瞬だったけど、顔を顰めた。

それから…スタンドに視線を向けて、軽く微笑んだ。

バッチリ目が合った。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp