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ダイヤのA 御幸一也

第29章 七森学園戦


幸ちゃんがつけたスコアーブックをそのまま食堂で眺めていた。

「5回コールドとはいえ、沢村くん投げぬいたんだ。」

「インコースにも投げられるようになったのが大きいな。」

「ほんと?インコースに?御幸くんが構えた所にズバッと?」

結構甘めだったみたいだけど、インコースはないと踏んていたバッターには十分なストライクだったらしい。

「試合の中で成長できていくってすごいな」
「課題は山積み。チームの雰囲気もそう。明日だぞ。」
「御幸くんから声かけなきゃね。」
「わかってる。」

帰り道にこんな話をしながら帰った。


「ありがとう。おやすみ」
「おぅ、また明日な」


御幸くんを見送った後すぐに、携帯の着信が鳴る。

「俊平?どうしたの?」
「声聞きたいって思って電話しちゃいけねぇか?」
「え"」

あまりにもストレートな物言いにドギマギした。

「ひでー反応。秋大に気を取られて俺の事なんてこれっぽっちも考えてねぇの丸わかり」

全くもってその通りです。言い返す言葉もありません。

「勝ったんだろ、今日。」

勝ったよと報告して、薬師の結果も聞く。
薬師も順調そうだ。
このまま行けば決勝で当たる。
稲実が負けたことも話題に上がった。

気がつけば話しだしてもう1時間経ってる。

「俊平も明日試合なんじゃないの?」
「試合だから、舞の声聞きてぇの。お前の声、聞いてたら落ち着くから」

なんて返したらいいのかな…。
はっきりと言ってくれてるのに、未だに答えられてない。

「俊平、あの…」
「待たせてごめんなんて言葉聞かねぇからな。何年待ったと思ってんだ」
「俊平…」


なんでかな…。ここまで言ってくれてるのに、さっきから御幸くんの笑顔ばかり浮かんでくる。
話してる相手は俊平なのに、御幸くんがなんで…。

明日も試合だと言うのになかなか寝付けず、寝不足で学校へ向かうことになった。
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