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ダイヤのA 御幸一也

第29章 七森学園戦


「ナベちゃん、見て見て。春乃ちゃんから!
初回打者一巡の猛攻で5点を取ったって。」

「すごいね。ちゃんと打線が繋がりだした。」

春乃ちゃんから速報メールが届いた。
試合動いたら教えてってお願いしていた。

「矢代ってほんとすごいよな」

「へ?いきなりどうしたの?」

「配球表…きちんと見たの今が初めてだからさ。」

「ナベちゃんみたいに野手のクセというか守備とか、打撃は見破れないんだ。ナベちゃんみたいにそっちのデータも取りたいってずっと思っていたんだけど、どうしてもバッテリー寄りになっちゃう。」

「俺は野手だったからね。矢代は投手だったんだから、得手不得手があってもいいんじゃない?
御幸が要望する配球表は矢代にしかつけられないって」


試合を見ながらいろんな話をした。
ナベちゃんとこんなふうにゆっくり話すことなかったから新鮮だ。

「着眼点がさすがだ…勉強させてもらいました。」
「いやいや、俺なんか…全然。
この結果には驚きが隠せないね」

稲実が負けた…。リベンジに燃えていたのに。特に夏ベンチ入りしていたメンバーは。

「とにかく早くかえろう。結果は伝えたけど早くみたいだろうし。」

食堂でみんな集まってた。
映像を見ながらナベちゃんが要点を話していく。

「矢代からはなんかない?」
ナベちゃんからふられたので、私が思ったことを告げた。

「鵜久森はチームワークがすごくいいんだと思う。誰かのためにって気持ちが強いって感じた。逆に成宮鳴は自分がなんとかしなきゃって気持ちが強すぎて自滅した。最後、首振った時点で打たれるな…負けたって思った」

キョトンとしてるみんなが不思議でしょうがない。私何か変なこと言った?
「え…あれ?なに?」

「成宮のこと御幸と一緒のこと言ってる。ほんと夫婦だなお前ら」

倉持くんに揶揄われて非常に居心地が悪い。

「私からは以上です!!」
いたたまれなくなって、速やかに着席した。


着替えてくると食堂から一旦脱出して、戻ったら入り口の所でナベちゃんが立ち尽くしていた。
中からはゾノくんの怒号。

「ナベちゃん…」

「あっ、ゾノが出てくる。こっち」


背中を押されて物陰に隠れた。
「辞めたいわけじゃないんだ」
聞きのがすくらいの小さな声だった。
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