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ダイヤのA 御幸一也

第28章 帝東戦


秋の雨は体温を奪われる。
みんな余分にアンダーシャツ持ってきてるかな…。

学校出る前に声かけとくんだった…。

やな雨だなぁ…。

もっと本降りになってくれたら、順延とかになるのにシトシト雨だもん。

降谷くんの事が気がかりで仕方ない。
心配していた立ち上がり。
力でねじ伏せて、0を積み重ねていく。
御幸くんの強気のリード。ランナーを出して走られても、矢のような送球でランナーを制する。
御幸くんの気合が伝わってきた。

こちらが0を積み重ねているのと同様にあちらも0を重ねていく。
投手戦になるとは思っていたけど、ここまで打てないのは焦りも出てくる。
それは相手にも言えることだけど。

「雨…強くなって来たね。」
「誰だ雨男は!」

ノーアウト一二塁のピンチもすごい集中力で凌ぎきった。
降谷くん、すごい成長してる…。
後は、味方の援護が欲しい。


雨がまた強くなって、試合は中断した。

「今のうちに替えのタオルベンチに持っていってくるね」
「階段濡れてるから滑り落ちないでよー」

唯ちゃん…さすがにそこまでドジっ子じゃないよ…


「タオル持ってきました。良かったら使ってください。身体冷やさないように。」

「サンキューな、矢代」
倉持くんが1枚くれと寄ってきた。
「スタンドも屋根ねぇから寒いだろ?風邪引くなよ。」
「ありがと。大丈夫!
降谷くんにも渡しといてね。肩冷やさないようにって」
「御幸にも言われてたから、大丈夫だろ。」

じゃね、とベンチからスタンドに戻ろうとしたら、走って転ぶなよとベンチの中から言われた。

みんなの前ではそんなドジ踏んでないと思うんだけど、どうしてかなぁと不思議に思う。

春乃ちゃんの方が盛大に転んでる気がするんだけどなぁ…。



長い中断の後の初球のストレートを御幸くんが弾き返した。

「やった!長打コース!!」
喜んだのもつかの間、バントのサインが出てていたのに、降谷くんは見ていなかった。
ファールフライ、フライに三振。
チャンスをみすみす逃してしまった。

先頭打者へのフォアボール。完全に集中力が切れてしまったみたいで、前の回とは別人だ。
長打を浴びて、均衡を破ったのは帝東。

1点がとてつもなく遠い。

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