第26章 ブロック予選スタート
1回戦、豊崎。
降谷くんの投打に渡る活躍で6-0。
背番号1。
プレッシャーもあるはずなのに、降谷くんはそれを力に変えて全力でプレーしていた。
「おー、マネージャー!元気か?」
「1回戦突破おめでとう。まぁ、当たり前だけどね」
「純先輩!亮介先輩!お疲れさまです。」
学校内でばったりお二人に会った。
「コールドじゃねぇのかよ、9回までやったんだってな。
マネージャーがもっとあいつらのケツ叩け!」
「女の子にそんなこと言っちゃダメじゃん。」
あは…さすがに手厳しい…。
「外から見てるともどかしいですよね。でも、みんな必死なんで…それはわかってあげてください。」
「わかってるよ。僕らも最初は全部手探りだっただろ?」
「そりゃそうだけどよ。」
「ごめんね。こいつ、受験勉強で苛ついてるだけだから。」
「気分転換にまたグラウンドに顔出してくださいよ。みんなにカツ入れてください!」
また行くよとお二人は言ってくれた。
秋の雨が降り続く日。沢村くんがブルペンに入った。
投球ホームを映像に撮って、打者がいるのといないのとを見比べる。
「舞ちゃんも見てやって。気づいたことなんでもいいから教えてやってよ。」
誘ってくれたから、一生懸命に映像に見入った。
でも、大きく崩れてる所はないし、違いが僅かすぎて、余計に悩んじゃいそうだな。
沢村くんも歯を食いしばって悔しそうにしている。
「沢村ー、お前もうごちゃごちゃ難しいこと考えるな。
元々大してコントロールもいいほうじゃねぇんだし。バカなんだから」
み、御幸くん…
あーあー、沢村くんの顔面崩壊してるじゃない…
身も蓋もないとしょげた沢村くん。
「はいはい、今日はもう遅えし解散解散」
パンッと御幸くんが手を叩いてみんな寮の部屋に帰っていく。
「舞ちゃんは送ってくよ。引き止めたの俺だし…」
「いや、大丈夫だよ。御幸くんも疲れてるでしょ。
早く寮に帰って休んで。ここも片しておくし。心配ないから、ね?」
「ダーメ。早く荷物取ってこい。」
キャプテン命令だと言われて職権乱用だーと言い返す。
御幸くんとまたこういうふうに話せて良かったと内心思う。
キャプテンになってから、ピリピリしてて近寄り難かったから。