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ダイヤのA 御幸一也

第25章 信じてる


御幸くんが取れないほどのワイルドピッチ。
その後、ホームにカバーもいけない。

ベンチではずっと項垂れていたみたいだ。

20連勝と盛り上がる薬師。
それとは正反対の青道ベンチ。

俊平がピースサインを送ってきた。
いや、それに応えられるわけないでしょ…。

「お疲れさまでした。」
そう声をかけて、ベンチ前の集合に加わった。

レギュラーも打順も固定しない…か…。




「舞ちゃん」

「御幸くん?!」

ノリくんと沢村くんと監督に呼ばれてなかったっけ?
終わったんだ。

ちょいちょいと手招きされた方に向かった。


「ごめん、忠告してくれたのに、俺沢村の状態に気づいてやれなかった。
あそこで何かしらの対策取ってたら、ここまで崩れる事もなかったかもしれない…」

「私も違和感があっただけというか…確信がなかったから…。

沢村くん…やっぱりイップスなのかな…」

「おそらく…」

決勝のデッドボールが原因か…
あれがきっかけだから…怖くなってしまうのもわからなくはない。
でも、沢村くんほど気持ちの強い人が…


「信じてあげよ」

「え?」

「沢村くん。
この試練を乗り越えて、またインコースにグイグイ投げ込める投手になれるって信じて待っててあげようよ。
私、沢村くんと御幸くんの強気のバッテリーすごく好きだよ。」

「ハハッ。そうだよな。捕手が投手の事信じてやらねぇとな。
ノリもだんだんと調子取り戻してる。舞ちゃんのカツが効いたんだな。」

「御幸くんもしかして、聞いてた?」

あれを?ほんとに?うわぁ…穴があったら入りたい。

「んー、秘密。」

絶対、聞いてた…。これは、絶対聞いてた。

でも、この感じ久しぶり…。
夜間練習忙しそうだったから、こんな風にずっと話してなかったもんな。


「久しぶり…だな。やっぱり舞ちゃんと話すと元気はもらえるわ。」

「御幸くん…最近、ずっと考え込んでたから…ソッとしといた方がいいかなって…」

「そんなに顔に出てた?」

「御幸くんは案外わかりやすいよ?」

野球にかんしてはね。
時々わかんなくなることもあるけど…。

マジかーと上を向いた御幸くん。
こっちを向いたときにはいつもの笑顔になっていた。
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