第24章 御幸の気持ち ②
ああやって気を回して選手の事、励まそうと頑張ってくれてる。
「あ、御幸…今の、見てた?」
「なんのことだ?それより飯、行こうぜ。腹減った!」
俺に見られたと思って慌てているノリ。
そんな慌てなくたっていいのによ。
「練習試合、がんばろうぜ。」
「あ、あぁ…頑張らなきゃな。リベンジしなきゃ。」
ナイターの消えたグラウンドで、後片付けを一人でやってくれてる舞ちゃんをノリに見つからないように、見つめた。
俺らが食べ終わった頃にようやく食堂に入ってきて、寮母さんと会話してる。
「御幸先輩、夜間練習付き合ってくれませんか?」
「わーったよ、ただし、軽く投げるだけにしとけよ。この前みたいに100球は受けてやんねぇからな。」
降谷の申し出に感化されて、沢村まで受けてくれと強請ってくる。
俺の体は一個しかねぇんだから、取り合うな。
明日は練習試合なんだから、軽めにしとけという俺の忠告を全く聞かねぇ馬鹿な後輩。
2人の熱意に負けて、結局遅くまで付き合ってしまった。
あー、疲れた。
今までなら、まだ残っているであろう舞ちゃんを探して、練習の疲れを癒やしていたのに。
話…してぇな。
「違うって、まだあと5ページやらなきゃ。」
「でもよ、ゾノたちに聞いたら、ここまでだって言ってたぞ」
食堂で倉持と舞ちゃんがテキストを広げてなにかやっていた。
「だって、数学の先生違うよ?先生によって範囲も違って」
「げぇ…まじか…終わったと思ったのによー。おー御幸!お前数学のテキストどこまでやった?」
「お疲れさま。」
「んー、倉持と一緒のところまで。つうか、お前に範囲聞いたし。」
夏休みの宿題の範囲についてあーでもない、こーでもないと言い合ってたのか。
「今年は見せないからね。去年見せたのが私ってバレて、大変だったんだから」
「クソー、アテにしてたのによ。」
「残念でした。」
舞ちゃんの態度は今まで通り。
ちょっとは寂しがったりしてくんねぇの?
ハハ…とんだ自分勝手野郎だ…
自分がこんなに、かまってちゃんだったとはね。
「御幸くん」
なに?と返事しようとしたら舞ちゃんが手を伸ばしてきた。
「土、顔についてる。」
ちょっとジッとしててとタオルで俺の顔を拭いた。
やべ…ドキドキする。