第9章 いやがらせ 十シエル十裏
地下室を開ける。
灯りのついていない部屋には、白い清潔そうなベットと
鎖に繋がれた伯爵がいた。
目を閉じていた伯爵だが、
女が入ってきたことで目を覚ます。
「………っ」
「あら?起きてしまったの?伯爵。
おはよう。よく眠れた?」
女はそう言って
蝋燭を灯す。
一瞬何が起きたかわからなかった伯爵だったが、
今置かれている自分の立場を冷静に把握した。
「……やはりお前だったか。
。」
「うふふ。既に知っているかと思っていたわ。
油断したわね、伯爵。」
「もちろん貴様だと目星はついていたがな。
連続誘拐犯め。
貴様は英国の秩序を乱した。」
伯爵はそばのベットに腰掛けたを
睨む。
……この状態でさえ、貫くような目をして
私を見据える……嗚呼
なんて生意気…
なんて可愛いのかしら…?
「まあ.ごめんなさいね。
決して秩序を乱そうなんて、
思ってもいなかったの…
ただ、
あなたが欲しかったの。
ファントムファイヴ伯爵。」