第7章 恋 十セバスチャン十微裏
『あら、貴方、初めてお見えになりますね。』
カウンターで1人飲みに来ている"彼"と出会ったのは、
一週間前。
「はい。先日からこの近くに住み始めたもので。」
“彼”はニッコリとしたとても愛想の良い若い男性だった。
黒い燕尾服に美しい顔がとても映えていた。
その日から彼は、毎晩のように店に来た。
“彼”はいつも真っ黒な燕尾服を着て、
いつも同じカウンターの席に座った。
そしてお店の自慢のお酒を飲んでいた。
「今日も来てたね。の気になる彼!」
彼が来ると友人はそう言って私をちゃかす。
『ちょっと、べつに気になってるわけじゃないったら!
ただ、最近よく来るなーって…』
「そんなこと言ったってバレバレよ!
気になって仕方がないくせに!w
あの燕尾服の彼、きっと狙いできてるのよ!、いつもが一番見える場所に座るのよねー!」