第13章 十昔話十
十。゜⋆。゜⋆十。゜⋆。゜⋆十
こうして年月は流れてゆき……
彼女と過ごして数年が経ちました。
その頃は
彼女に貴族のマナーを叩き込む
毎日が続いておりました。
『…アン様、
ここは"初めは"、ではなく
"当初は"と訳すべきところです。
…昨日も同じ間違いをしましたね?』
「…」
『さぁ、手を』
「…」
…彼女はとても物覚は悪かった。
罰を受ける回数は
坊ちゃんの3倍と言ったところでしょうか?
(坊ちゃんはなかなか賢い方なので、
彼と比べるのも酷ですが…)
「いっ……」
それだけ罰せられれば
もちろん手も傷だらけになります
『…全く、女性の手には思えませんね…
さあ、消毒を。』
「貴方がこんなに罰するからいけないのよ…」
『何のための罰ですか。
罰せられたくなかったら、
もう少し物覚えを良くして欲しいものです。』
「…ふん」
穏やかな毎日でした。
しかし、
最期の時も近づいていました。
その頃からでした
少しづつ、少しづつ
彼女は彼女でなくなっていった