第3章 サキの術・少年時代1
「かかしのお父さんて、きっと素敵な人だったんだろうなぁ…だからかかしもその流儀を持つことができた。
かかしはまさにお父さんの子、お父さんの意志そのものだね」
「俺は…父さんの意志そのもの…」
ポツリと君は私の言葉を繰り返し、かみしめた。
「サキ…」
「ん?」
「俺と…ここに…もっと一緒にいてくれる?」
あぁ、心苦しい瞬間だ。
「かかし___ごめんね。
特別な時間は…きっと目が覚めたらおしまい。でも大丈夫。かかしが目を覚ました時には、昨日よりももっと強くなれるから」
納得いかない表情をする君をなだめるように撫でていく。
頭を素直に撫でられている小さな君は、心のうちを少し話した安心感もあり、しばらくするとまたトロンとした顔になる。
「サキ…だったら俺…眠り‥たく…な…」
そうして、ちいさな君は穏やかに眠りにつく。
彼から放たれる感情は暖かい穏やかな色。
そのかわいい寝顔をいつまでも抱きしめて、君のぬくもりを感じた。