第28章 お酒の力 / ※甘裏
今日は勝己くんが経営する事務所のみんなでお酒を飲んでくるって連絡があった。
もう少しで日付が変わる。
そろそろ帰る頃かなと、お風呂の支度をしようとしていた時のことだった。
ガチャっと鍵の開く音がしたあと玄関の扉が開く。
「……帰ったっ」
『おかえりなさいって…うわっ!//』
パタパタとスリッパの音を鳴らしながら出迎えると、ぼそっと呟いた後、急に抱きついてきた。
『かか勝己くんっ?///』
帰ってすぐに勝己くんから抱きついてくることなんてないから、どうしたらいいかわからず慌てる。
私の肩に顔を乗っけて、だんだんと抱きしめる力が強くなる。
ふわっと香るお酒の匂いとニトロの匂いで私まで酔いそうになる。
『どう、したの…?///』
「…なん、でもねぇ…///」
珍しく説得力のない返事。
だいぶ飲んできたんだろうな、と背中を撫でてみる。
『よし、よしっ』
「…子供扱いすんじゃ、ねぇっ…」
『なら早く離れてお風呂に…って…ひゃっ、どこ、触ってっ///』
腰にあった勝己くんの手がだんだんお尻に移動していてやわやわと撫で回される。
慌てて離れようとすると勝己くんと目があった。
頬が赤くなっていて、息も少し荒い。
おまけにいつもみたいな鋭い視線じゃなくて熱っぽい目で見られて、ドキッとする。
「……抱かせろ、ここで」
『…っ///』
そんな状態で、そんな台詞言われたら断るなんて選択肢はなくて、小さく頷くしかなかった。
『…んぅ、ふっ、んぁ///』
「…はぁ、っ」
壁にトンって痛くないくらいに押さえつけられて、唇を奪われる。
『ふぁ、はぁっ…ぁっ』
「…んっ、はぁっ、ぁ…」
珍しく勝己くんの吐息が漏れていてなんだか新鮮なキス。
相変わらず少し乱暴に口付けてくるところは変わらないけど。
そして何度も受け入れている勝己くんの舌がするっと口内に入ってくると私の舌を捕らえて、ぐるぐると遊ばれる。
私は、力が抜ける前に勝己くんの肩に手を置いた。
「…はぁっ、首に、回せっ…」
『…え、う、んっ、わかったっ///…んぅ//』
私は言われた通りそっと勝己くんの首に腕をまわすと、勝己くんの左手が腰に回されてぐっと引き寄せられる。