第3章 ○8月9日 ハグの日 / 甘
「…シねぇえええっ!!!」
私はその言葉を聞くと、安心して気を失ってしまった。
*
俺は、敵からリルルを奪い取ると、怪我がないことを確認してほっとする。
「こいつ、連れて帰ります…」
そう、警察に言うとリルルをお姫様抱っこで連れ帰った。
*
部屋に着き、リルルをベッドに寝かせる。
「俺に、心配させてんじゃねーよ、クソがっ…」
ぼそっと呟くと、部屋を出た。
*
カーテンから差し込む日差しと、かすかに香るあの匂いで目が覚めた。
ー 勝己くん、ずっとそばにいてくれたんだ//
そう思って目を開けると、目の前は真っ暗で身動きが出来ない状態だった。
ー えっ、あれ? なにこれっ
顔だけは動くことがわかり、そっと見上げてみる。
『…う、そっ///』
そこには、勝己くんの寝顔のドアップ。
いつも不機嫌な顔しかしない勝己くんの無防備な姿。
その瞬間抱きしめられてるとわかり、顔を真っ赤にする。
真っ暗だったのは黒のタンクトップ、身動き出来ないのは、がっしりとホールドされていたからだった。
『…な、なんで// どどうしよう//』
心臓の音がうるさい、想い人にこんなことされて落ち着けるわけがない。
でも、普段では絶対見れない姿に、私は思わず凝視してしまった。
ー 綺麗な顔してるなぁ、このまま顔近づけたら…
そんなことを考えていたら、突然、勝己くんの目と合った。
『ひゃっ⁉︎ /// おお、起きてたの?//』
「…お前の心臓の音で目、覚めたわ」
『…うっ///』
「……怪我、してないんか?」
「うん、大丈夫、助けてくれてありがとう、勝己くん//」
「次、心配させたら、覚悟しとけ」
そう言うと勝己は抱きしめる力を強くした。
部屋を出るとA組に質問攻めされたのは言うまでもない。
END