第12章 普通科の彼女 / 甘
昼休み、図書室のお気に入りの場所で本を読むのが好きだけど最近はある人に横取りされている。
A組の爆豪くんだ。
雄英の体育祭で、より一層怖い人だと認識してしまったから、関わりたくないと思っていたけど、爆豪くんも図書室なんか来るんだと思うとちょっと意外だった。
今日は仕方ない、また明日来ようと、本を棚に戻した。
*
次の日、ご飯を早く食べて、急いで図書室に向かう。
ー 今日は、空いてますように!
でもその願いは虚しく、彼はまたそこにいた。
ー なんで今日もいるの…
でも今日は読みたい本があるからどうしても座りたい。
他に空いてる席を探しに行くけど、今日に限ってどこも満席。
爆豪くんの向かい側以外は。
結局お気に入りの席のそばで、どうしようかと迷っていると、彼と一瞬、目が合った。
『…っ!?』
思わずびくっと体が震える。
「…ここ、座れよ。」
ー 聞き間違いだろうか? 今座れって言われたような…
『えっ、いい、んですか…』
おずおずと聞き間違いでないことを確かめる為に尋ねた。
「はよ、座れ…そこで突っ立ってる方が、うぜぇ。」
『ご、ごめんなさい…』
私はいそいそと向かい側の席にちょこんと座った。
ー でも良かった…やっと本が読める
私は本のページをめくり始めた。
昼休み終了5分前のチャイムが鳴った。
『もう終わりかぁ…いいところなのに…』
ついいつもの癖で、独り言を発してしまった。
すると、ぷはって笑い声が聞こえた。
ー 爆豪くんてそんな笑い方するんだ…
「お前、明日もここ、座れや」
END