第1章 ☆11月7日 ココアの日 / 甘
「リルル、ちょっとこっち来いや」
『ん? どうしたの?』
ココアを飲もうと牛乳を取り出そうとしたら、勝己くんに呼ばれた。
声の方を向くと、さっきまで2階にいた勝己くんが、いつの間にかソファにどーんと座っていた。
『ちょっと待って、ココア飲みたいからーー』
「いいから、はよ来いっ」
『んもぅー』
仕方なくココアを諦めて、勝己くんのいるソファに行くと、いきなり後ろを向かされて、勝己くんの膝の上に座らされた。
『えっ、ちょっ// 勝己くんっ!?』
おまけにぎゅーっと抱きしめられて、普段しない行動に恥ずかしさと、どうしたらいいのかわからなくて、身体を強張らせた。
「緊張してんのかよっ」
『だ、だってっ///こんなこといつもしないし…///』
「たりめーだろ」
『どうかしたのっ?』
「んでも、ねぇよ…」
私の肩に顔を埋めながら言う勝己くん。
そう言われたら何も聞けなくて勝己くんが満足するまで私は大人しくするしかなかった。
「ココア、飲みてぇンか?」
『え? うんっ…飲みたいけど…』
「けど、なんだよ?」
『な、何でもない!飲みたいっ』
「なら、いれてきてやるよ」
『あ、ありがとうっ』
そう言われて抱きしめていた腕が緩んで解放された。
私は、すぐさま膝の上から降りた。
「ソファ座っとけ」
そう言われて、私は勝己くんが座っていた場所に座った。
数分後、キッキンからお気に入りのマグカップに入ったココアを持ってきてくれた。
「ほらよ」
『ありがとうっ』
私は、両手でマグカップを持って一口ココアを飲んだ。
『ん〜♪ 美味しい〜♪』
「はっ、よくそんな甘ぇもん飲めるな」
顔をしかめながら勝己くんは私の隣に座った。
『そんな甘くないよー?』
「甘ぇだろうが」
そう言うと勝己くんは、私のココアを横取りしたと思ったら急に顔を近づけてきて、私の唇を塞いだ。
END