第7章 寝顔 / 甘
ー こ、これは、夢? それとも幻覚かな?
授業が終わって放課後、忘れ物をした私は教室に戻っていた。
部屋に入るとあの爆豪くんが、無防備にお昼寝? していた。
いつも真っ先に帰ってるのに。
しかも今は私と爆豪くんだけ。
こんなこともう二度とない。
そう思ったらどうしてもちょっとだけ、寝顔を拝見したくなってしまった。
私は、意を決して起こさないようにそっと近づく。
いつもは遠くから眺めているだけ。
神様、今だけは彼を起こさないで、そう願いながら。
彼の席の隣にきた。
ー すごく綺麗な顔、いつもは怖い顔してるけど、好きだからかな?
全然怖く感じない。
『…お、起きてないよね…』
そう小さく呟いた。
「……起きてたら、どうすんだ? 」
閉じられていたまぶたがいきなり開かれ、突然腕を掴まれる。
『っ!!!?』
顔の熱が一気に上がって、パニクる私。
「なぁ?どうすんだよ、癒月?」
ニヤっと笑った爆豪くんの顔は寝顔よりもレアだった。
END